「いえ、そんな立派なものじゃありませんよ。」

私が答える横で、修ちゃんがずっとクスクス笑ってる。

「社長、何がおかしいんですか?」

真下さんが拗ねるように聞くと、

「いや、真下は手が早いなと思ってたら、
振られるのも早いから。」

と肩を震わせる。

「ええ!? 俺、振られたんですか?
また今度って、のどかさん、言ってくれたじゃ
ありませんか。」

「女性の『また今度』は『ごめんなさい』と
同義語だよ。
覚えておくんだな。」

「そうなんですか? のどかさん。」

「いえ、あの、一概にそうとばかりは
言えませんが…」

私は、余計な事を言った修ちゃんを軽く睨みながら、言葉を濁す。

「真下、諦めろ。」

修ちゃんが言った。すると、真下さんは、

「嫌ですよ。
のどかさん、どストライクなんです。
何球、ファールになっても、最後にヒットが
出ればいいんですから、俺は粘りますよ。」

と私を真っ直ぐに見るので、私は恥ずかしくなって俯いてしまった。

これって、告白…では、ないよね!?

はぁ………
もしかして、入社早々、めんどくさい事になってる?