10分ちょっとで、私たちの順番が回ってきた。

日替わりA定食はチキンステーキ
日替わりB定食はアジフライだった。

私と修ちゃんは、思わず顔を見合わせ、迷わずA定食を頼んだ。

真下さんはB定食。

4人掛けのテーブルに、修ちゃんと真下さんが向かい合わせに座ったので、私は困った。

秘書としては、社長の隣は失礼なので、下座の真下さんの隣に座るべきだろう。

だけど、初対面の男性の隣って、なんだかちょっと抵抗がある。

修ちゃんの隣の方が居心地がいい。

そんな事を思っていると、真下さんが手招きをする。

「のどかさん、どうぞ。」

真下さんは、自分の隣の椅子を引いてくれる。

それを断る訳にもいかず、

「ありがとうございます。」

と座ろうとすると、目の端に渋い顔をした修ちゃんが映った。

「佐倉さん、下心満載の真下の隣は危険だから、こちらへどうぞ。」

ほんの一瞬前とは打って変わった優しい笑顔で修ちゃんが言う。