社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

「くくっ
そうか。そういう手もあるのか。」

「? そういう手? ですか?」

「いや。じゃあ、そのように連絡してくれ。」

「かしこまりました。」

私は、スマホを出して、先程のメモを見ながら、電話をする。

すると、それを見た修ちゃんが、

「のどか、ちょっと待て!」

と止めた。

「『佐倉』です! 社長。
何ですか?」

「それ、どこへ掛けてる?」

「真下さんの携帯ですけど、何か?」

「はぁ………
のどか、隙、あり過ぎ。」

「『佐倉』です!
社長、会社でファーストネームで呼ぶのは
やめてください。」

「今は、他に誰もいない。
それより、のどか、真下に電話番号、
教えたのか?」