社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

「もしよろしければ、この後、一緒に食事に
行きませんか?
社食でもこの辺りの美味しいお店でもご案内
しますよ?」

確かに、この辺りには不案内だし、ひとりで食べるのも味気ない。

だけど…

「ありがとうございます。
でも、社長に確認しませんと…
何か仕事があるといけませんので。」

私がそう言うと、

「そうですよね。
じゃあ、ダメな時は連絡いただけますか?」

と言って、手帳に連絡先をメモして渡してきた。

そして、

「秘書さん、お名前を教えていただけますか?」

と聞かれた。

「あ、ごめんなさい。
佐倉のどかと申します。
よろしくお願いします。」

私は自己紹介をして頭を下げる。