浩子さんは、頬をほんのり染めて、そこに座っていた。

俺は、口を開いた。

「ありがたいお話だとは思います。
私にはもったいないお嬢様です。
しかし…」

「社長!」

全部を言う前に、のどかが、後ろから俺の言葉を遮った。

「社長、今、結論を出さなくてもいいのでは
ありませんか?」

すると、満井社長は、

「そうだな。
若いと結論を焦りがちだが、ゆっくり考えて
最善と思われる結論を選ぶといい。
君はいい秘書を持ったな。」

と言った。

俺はこの場で断る事を諦めて、

「持ち帰って、検討させていただきます。」

と答えた。

ところが、満井社長はさらに続けた。

「一度、デートでもしてみるといい。
この後、安井くん、時間はあるんだろ?
浩子を預けるから、よろしく頼むよ。」