「ごちそうさま。」

俺は料理を食べ終えると、コーヒーを入れるのどかの横で、食器を洗う。

そして、2人で食後のコーヒーを飲みながら、のんびりと過ごす。

「そういや、のどかの好みのタイプって、
どんなの?」

さりげなく、聞いてみた。

「え? なんで?」

「さっき、好きになった人としか付き合わない
って言ってたじゃん。
どんな人を好きになるのかなぁと思って。」

「うーん、特にないなぁ。
ルックスもあんまり気にしないし…
強いて言えば、優しい人?
すぐに怒る人とか、店員さんに偉そうな態度を
取る人とかは、苦手かな。
修ちゃんは?」

それは、俺、当てはまってる?

「俺? 俺は…
守ってやりたくなる子かな?」

のどかだよ。

「へぇ〜。
でも、修ちゃんに守ってもらえる子は幸せ
だろうね。」

「そう思う?」

「うん。
私も1年生の時、修ちゃんに守られて登校
してたわけじゃない?
幸せだったもん。」

それって…

「じゃあ、のどか、俺と付き合ってみる?」

勇気を出して、言ってみた。

「へ?
またまたぁ。
修ちゃんみたいな人は、そういう勘違い
しそうな冗談は言っちゃダメだよ。
女性関係の後始末は、秘書の仕事じゃない
から、覚えといてよ?」

玉砕?

「くくっ
残念。俺はのどかが大好きなのに。」

「もう! 好きの意味が違うでしょ?」

違わないよ。

のどかには、どうすれば、この想い、伝わるんだろう。

なんか、切ない。



俺は、飲み終えたカップを片付けて、

「のどか、おやすみ。」

と、自分の部屋へ戻った。


だけど、のどかへの想いは募るばかりで…

なかなか眠れないのに、仕事も手に付かなかった。

これが、世に言う、恋煩いというやつなのだろうか。