・:*:・:・:・:*:・

翌朝。

寝起きで冷蔵庫の水を飲んでいると、階段を下りるのどかの足音が聞こえた。

「修ちゃん、起きてる?」

囁くようなのどかの声がする。

「ん? なに? のどか。」

俺が玄関へ行くと、

「朝ごはん食べた?」

と尋ねる。

「いや、まだだけど。」

「今、サンドイッチ作ってるんだけど、
食べるかなぁと思って。」

「おお、28歳女子の料理!
食べる、食べる!」

と俺はのどかの後に続いて、階段を上がった。

のどかのサンドイッチは、トーストしてあって、マスタードが効いていて、とても美味かった。

買い物の約束をして、階下に下り、俺も身支度を整える。

で、鏡を見て驚いた。

髭は生えてるし、髪は跳ねてるし、とても見られたもんじゃない。

のどかもなんで教えてくれないかなぁ。

寝起きのみっともない姿を晒す。

これが同居のデメリットかぁ。

・:*:・:・:・:*:・

10時。

俺が玄関に行くと、のどかはもう靴を履いて待ってた。

「お待たせ。行こうか。」

俺は寝具店が入っているショッピングモールへのどかを連れて行った。

のどかは、ベッドパッドとシーツはさっさとカートに乗せたのに、掛け布団の前で悩んでる。

確かに一人で寝るなら、シングルでも大丈夫だから、迷ってるんだろうな。

そういう堅実なお金の使い方ができる女性って、奥さんになっても浪費しなさそうでいいよな。

なんとしても、俺の奥さんにしたい。

でも、今は、のどかを甘やかしたいんだ。

だから、俺は黙って掛け布団をカートに乗せた。

すると、のどかは、

「え? まだ、買うかどうか決めてない。」

って言うから、

「就職祝い。」

と言ってやった。