玄関から、のどかの声が聞こえた。

「修ちゃん、今から、スーパーに行ってくるね。」

「ん? のどか?」

俺は立ち上がって玄関に行った。

「今から、行くの?
もう、暗いよ?」

「うん。でも、冷蔵庫の中、空っぽだし、まだ
そんなに遅くないから、大丈夫だよ。」

そんなに遅くないけど、のどかをひとりで外に出したくはない。

「じゃあ、一緒に行くよ。
車出すから、待ってて。」

俺は車の鍵を取りに戻った。

「ええ!?
いいよ、わざわざ。
修ちゃん、お仕事中でしょ?
ひとりで行けるから。」

のどかが玄関から話しかける。

「気分転換だよ。
これくらい、甘えなさい。」

俺が、一緒に行きたいんだ。

俺は、子供の頃、そうしたように、のどかの頭をポンポンと撫でた。