蕎麦を食べながら、のどかは俺が起業した理由を聞いてきた。

もう、敬語なんてどこにもない。

俺はそれが嬉しかった。


蕎麦を食べ終わると、また手を繋いで帰った。

本当は、手を繋ぐ必要がない事は分かってたんだけど、のどかが嫌だって言わないから、気付かないふりをした。

のどかの手、身長が高い分、女性にしては大きいんだけど、細くて華奢で、俺の手の中で、キュッてなるんだ。

もう1年生ののどかの手じゃない。

女性の手なんだ。




家に帰ると、のどかは2階に上がって片付けの続きをする。

俺は、時々2階から聞こえる物音にのどかを感じながら、仕事をする。


気づけば外は薄暗くなっていた。

のどかが、階段を下りてくる足音が聞こえる。