社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

すると、のどかは、

「別にいいですよ? 手を繋ぐくらい。」

と言って、笑った。

うわっ! のどかの笑顔、破壊力抜群。
めっちゃかわいい。

「ほんと? じゃあ。」

俺は、そう言うと、のどかの手を握って歩き出した。

「それにしても、のどか、おっきくなったなぁ。
昔は、あんなにちっちゃかったのに。」

俺は隣に並ぶのどかを見て言うと、

「それ、気にしてるんだから、言わないで。」

とのどかが、ふくれた。

もう、のどかは怒ってもかわいいんだな。

こんなに何してものどかがかわいく見えるなんて、俺はどこか変なんだろうか。

「ごめん。そういう意味じゃなくて。

俺の記憶にあるの、のどかが中1の時まで
だから。」

「え?」

あ、のどか、固まった?

「あれ? もしかして、のどか、高校生の俺と
たまにすれ違ってたの気付いてなかった?」

「………」

だろうな。
知ってたよ。

「はぁ… ショック。
めっちゃかわいくなったのどかに熱い視線を
送ってたのに。」