社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】

「え? なんで?」

分かってないのか。

「だって、一緒に出勤して、一緒に帰るだろ?」

「あ…」

ようやく理解したようだ。

俺は、鍵をしまって、小学生の頃のようにのどかと手を繋いだ。

でも、のどかは動かない。

手を見て、うろたえてる。

「あ、ごめん。
のどかは、もう1年生じゃないから、手、
繋がないよな。」

俺は、慌てて手を離した。

「あ、いえ。」

「俺、なんとなく、のどかとは手を繋いで
歩くもんだと思い込んでたかも。」

そうか。

大人になって、できる事もあれば、大人になるとできなくなる事もあるんだな。

残念。