だけど、俺はのどかに会いたくて、それから毎日のようにのどかの下校時刻に合わせて、そのハンバーガー屋へ行った。

俺の小遣いは、受験生なのに、参考書ではなく、ハンバーガーに消えていった。

のどかは、不定期に週に一度くらいハンバーガーを食べに来ていた。

だけど、のどかは俺には気付かない。

俺だけがのどかを見つめていた。


夏になり、俺は志望校を県外の大学に決めた。

このまま、ここにいたら、いつかのどかに手を出してしまいそうで怖かった。

インターハイが終わり、部活を引退すると、のどかとは下校時刻が被らなくなる。

俺は毎日、ハンバーガー屋で3時間以上勉強するようになった。

そして、のどかの下校時刻を過ぎると、諦めて家に帰った。


そして春。

第1志望の大学に受かった俺は、家を出た。

のどかとは、永遠にさよならしたはずだった。

母から電話があるあの時までは。