空を見ていた。

授業中ではあったが、集中出来ず、目をやってしまった。
その日は、晴れていた。9月とは思えないくらいの暑さだった。

と、そこで__

「!」

紙切れが、前の席から机に投げ込まれた。先生の目を盗んで回ってきたようだった。

三つ折りにされている、長方形の紙切れを開く。
書かれてあったのは、

『今日カラオケ行くやつ名前書け!葎は絶対な』

だった。
その文字のすぐ下に、クラスメート数人の名前があった。

誰がこれを書いたのか、大体は予想がつく。

秦(せい)だ。

秦はクラスのムードメーカーで、何かを思い付いたら、授業中であろうが、テスト中であろうが、紙切れに書いて回してくる。そして、その何かに、私はいつも強制参加だ。

まあ、楽しいのには変わりはないから、いつも行くんだけどね。

と、そこで、名前を書こうとして動かした手を止めた。......そう。メンツの確認だ。私は、遥と葉那乃の名前を探した。私は一番後ろの窓際の席。二人は私より前だから、行くんなら名前があるはず。


............あ、あった!