「よし、行こう」 ぱっと手を掴まれてぐいっと引っ張られる。 反射で目が開いた。 「美織?」 にこっと笑って後ろに手を振る。 な、何なのこれ。 気づいたら全力疾走していて、元々足の速い美織に疲れ切った俺は情けないけどついていくのに精いっぱい。 俺が疲れてスピードが落ちてくると美織は手を離してくれた。 「どういうつもりだよ」 歩きながらも息が荒い俺に比べて美織は疲れも見せず涼しい顔をしている。 にこっと口角だけを上げてぴたっと止まる。