「一日目はできるだけ近くの席を確保しておくこと。新幹線とかバス移動は男女別だから仕方ないけどさ、できるだけ視界に入るようにするの」
何その裏技。
ちょっとメモさせて。
「ただし蓮側からの見すぎはNG。たまーにでいいの。タイミング見計らってチラ見。偶然を装え」
「た、タイミングって…。僕がそんな器用じゃないって小雪ちゃん分かってるよねえ!?」
僕が今までタイミングとか考えられる人生だったらこんなに苦労してないよお。
「わーかってて言ってんの。いい?恋は計算なの。都合よく運命がそこらへんに転がっていたら誰も苦労なんかしないわよ。蓮みたいに猪突猛進、やる気だけでアタックするだけだと引くよ。さすがに引くよ」
さ、さすがにはっきり言われるとぐさっと心に刺さりますわ。
まさにクリティカルヒット。
「私は運命とか信じちゃうけどなあ。いいじゃん、ロマンくらい持ったって」
やっぱり美織ちゃんは僕の仲間だよ!
「美織の少女漫画主義理想とは違うの。これはリアル!現実!あれ?今日は蓮の視線がないな?くらい思わせとけ!」
お、おお、すっげー高度じゃないかその技。
みんなこんなこと考えてるの?
プロ!プロじゃんこんなの。
「でもさ、修旅っていうハイな環境なら多少の視線くらいバレなくない?」
ぼそりと悠李くんは呟いた。
「俺は蓮のやり方で攻めていけばいいと思う。恋のやり方に間違いなんてないんだし、向こうも蓮がそういうやつだって分かってるんだから。不器用なくせに変に何かしないほうがいいんじゃねーか?」
「おおお…妙に具体的だねそのアドバイス」
僕も小雪ちゃんもクールな悠李くんの意見に惚れるわ。
実際小雪ちゃん顔赤くなってなーい?
なってなかったわ。
「ねえねえ、美織ちゃんはさ、どうすればいいと思う?」
ここはいっちょ、同志の意見を聞こうじゃないか。
「そうだねえ」
美織ちゃんは読み込んでいた雑誌をぱたりと閉じた。

