【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。



「不審者でもないし、ナンパでもないよ」



 心の声が聞こえたかと思った。彼は私の隣に座る。全然、許してないんだけど。



「俺、至《いたる》。高校二年」

「別に聞いてないし、話すこともない。そこに座っていいなんて言ってない」



 冷たいの、なんて言う彼……至がケラケラ笑うから余計にイライラした。

 同級生のくせに、人生楽しそうで悲しくなる。



「なあ、自殺しようとした?」

「……別に」



 至は急に立ち上がる。

 海に向かって歩き出す後ろ姿は金髪で、紺のスポーツウェアを着ている。
 足は鍛えているのか引き締まった筋肉がすごい。

 しばらく海を見ていたかと思うと振り返る。