天満から下の子らが決めた決断を聞いた十六夜は、上座で腕を組んで目を閉じて考えていた。


…まさかこんなに多くの子に恵まれるとは思っていなかったから、今後この子たちをどうするかなんとなく考えてはいたのだが――

長女の如月は早い段階で嫁に出しているが、他の子らはまだ独り身。

鬼族は早熟で所帯を持つのも早く、嫁や婿に欲しいという文が日々届いているのも確かだ。


「…そうか。そんなことを考えていたのか」


「はい。朔兄にはもう許しを得ましたから後は父様が頷いてくれたら…」


「……どこに誰をやるのか決めているのか?」


「え?いえ、それはまだですけど」


「そこは俺に決めさせてくれ。お前たちがどこで何をするのか把握しておきたい」


それについて異論はなく、天満が頷くと、十六夜は隣でもやもやした表情をしている息吹をちらりと見た。


「…何か言いたいことがあるなら今のうちに言っておけ」


「天ちゃん!離れてくなんてやだ!」


――この反応は想定内のため、天満はぺこりと頭を下げてにこっと笑った。


「僕たちもう童じゃないんですよ。母様は近くで朔兄を支えて下さい。僕はどこに行こうかな」


「お前が行く場所はもう決めてあるんだ」


突然割って入った声のする方を振り向くと、朔が居間の出入り口にもたれ掛かって立っていた。


「そうなんですか?」


「うん。その話を後でするから、父様との話が終わったら俺の部屋に来てくれ」


「はーい」


「お前は朔の元で朔を支えてくれると思っていたが」


「それは輝兄の役目ですよ。僕はどこで何をするんだろう?わくわくするなあ」


離れるのは少し寂しいけれど、それよりもここではない場所で兄を支えることができるのならば、その方がいい。


「天ちゃん…」


隣に座って袖を握ってくる可愛い母の背中を撫でてやりながら、楽しみで仕方がなかった。