天満つる明けの明星を君に【完】

雛菊と娘を真っ白な棺に横たえさせた。

墓地まではそんなに離れていなかったため、朔たち家族の手で棺を担いで墓地まで運んだ。

――家族を欲しがっていた。

とても焦がれていて、あの傍若無人な駿河との間であっても家族ができたらと願っていた。

ほんのいっときであったけれど、鬼頭の者として大所帯に囲まれて過ごした日々が雛菊の心の安寧になればいいなと思うばかりの天満は、雛菊の父が眠る墓の隣を選んだ。


「雛ちゃん、ここに眠るにはちょっと早すぎるよ。お父上たちもきっとそう思っているだろうけど、眠るにはここが一番いいもんね」


土を掘り起こして穴の中に棺を入れた。

いよいよ別れが近いと分かると決意が鈍り、朔がそっと肩に手を置く中、天満は棺に手を差し伸べた。


「待って…雛ちゃん……」


「ここに来ればいつでも会えると言ったのはお前だろう?そろそろちゃんと眠らせてやろう」


天満は唇を震わせて、最後に別れの言葉を振り絞った。


「雛ちゃん、ずっと待ってるからね。できれば僕が僕で居る間にまた出会いたい。僕が必ず…絶対見つけるからね。心配しないで…絶対に見つけるから」


雪男たちは音を立てないように丁寧に次を被せていった。

晴明はその間ずっと祈りを捧げていて、息吹もそれに倣って目を閉じて両手を合わせていた。


「雛ちゃん…君は僕の光だ。だから君の光を見失うわけがない。それを覚えていて」


掠れた声で何度も雛菊の名を呼んだ。

息をすることも適わず、名を付けてやることもできなかった娘に懺悔を捧げた。


そうして、天満は最愛の者との別れを終えた。