天満つる明けの明星を君に【完】

その夜は家族全員同じ部屋で寝た。

人である息吹は夜が来れば当然眠たくなるわけで、朔たちは半妖なため大抵は昼頃寝ていたが、母に倣って眠った。

天満はなかなか寝付けなかったが、左右に朔と星彩が寝ていたため、凍えるような心の冷えが解消されて身体を丸くしていると、いつの間にか眠っていた。


晴明は雛菊の番を絶やさず目を閉じて瞑想をしていた。

ふたりの心の平穏は確かなもので、今後転生して生まれ変わって来ることは確実と思えたが――それがいつになるかまではさすがに晴明でも分からない。


「雛菊…そなたは鬼族の女らしく惚れた男の心を縛れて満足だろうけれど、また天満を苦しめるだろうことも知っている。相反する感情に揺れて昇華できなかったのは理解できるよ」


雛菊が‟扉”と呼んだのは、恐らく冥府へ通じる門のことだ。

そこまで導いたのは、息吹の中で眠り続けている木花咲耶姫だろう。

かの姫が受肉した息吹の思いに呼応して手助けしたものと思われるが、そうなればきっと、身内か限りなく出会いやすい環境の下に転生してくるかもしれない。


「どうか‟天満”の時に転生してきておくれ。これは私だけではなく皆の願いだ」


――それまで冷たかった部屋の空気がふっと和んだ気がした。

冥府へ辿り着き、選定を受けて罪を洗い流し、再び今生へと転生するまで一体どれだけの時がかかるだろうか?

まだ若い天満にとってそれは暗闇の中牢に閉じ込められているような絶望の毎日かもしれないが、きっと朔たちが支えてそれを切り抜けることができるだろう。


「そなたたちは本当に可愛らしい夫婦だった。またこの爺にその姿を見せておくれ」


また空気が和んだ気がした。