天満つる明けの明星を君に【完】

天満の心の平静を補うため、急遽星彩が呼ばれた。

天満が目覚めた時には傍で手を握っていたため、天満はぼんやりしながらも朔たちが気遣ってくれていることを知ってむくりと起き上がった。


「星彩…」


「……大変だったね…」


言葉少なながらも普段切れ長でいて触れれば切れそうな目尻が下がっている星彩が言葉を選びながら絞り出した言葉に天満はふっと笑って星彩の頭を撫でた。


「僕のために来てくれたんだよね?ありがとう」


「……雛菊さんは俺のお姉ちゃん同然だったんだから…当然」


そうだね、と呟いた天満が立ち上がろうとすると、星彩もしっかり手を繋いだまま立ち上がり、ふたりして居間へ移動してそこで皆の視線を集めた。


「おはよう…なのかな?すごくよく寝てたんだけどまだ眠いっていう…」


「まだ寝ていていいぞ」


「いやいや…朔兄もここに長居するわけにはいかないだろうし…それに雛ちゃんをお墓に入れてあげないと」


密かに目配せをした面々は、天満が自らそう切り出したことでその話題に乗っかった。


「どうするつもりだ?」


「明日埋葬しましょう。宿屋のみんなにも雛ちゃんが亡くなったことを伝えないと。気が重たいけど…やらないと」


「天ちゃん…その後はどうするの?一緒に帰る?」


天満は星彩に大丈夫だから、と優しく声をかけて手を離し、息吹が淹れてくれた熱い茶をゆっくり飲みながら首を振った。


「僕はここから離れません。…しばらくは無理です。ごめんなさい」


「謝らなくていいんだよ、ここには天ちゃんの守りたいものが沢山あるもんね。お父様には私から伝えておくからなんにも心配しなくていいからね」


小さく頭を下げるとまた星彩ががしっと手を握ってきて思わず苦笑。

弟に心配をかけていることが申し訳なくなった天満は、よしと掛け声をかけて笑いかけた。


「星彩、一緒にお風呂に入ろうか。うちは温泉だから気持ちいいよ」


「……うんっ」


「俺も一緒に入る。雪男、お前はどうする?」


「俺を殺す気か!」


「じゃあ私も一緒に入る!」


「いやあ、母様それはちょっと…」


断られると分かっていつつ放った息吹の言葉に皆からようやく笑い声が上がった。