何度も気を失いかけて、夢現にまた娘と逢っていた。

今度は目の前に座って、互いに正座して真向かいに対面していた。


「…産まれて来るのね?」


「……ごめんなさい…」


「あなたは悪くない。私が…私が本当に好いた人と夫婦にならず、あなたのお父様と出会うのが少し遅くなったから、こうなってしまっただけ」


娘が俯き、さらりと垂れた長い髪が本当に美しくて、その髪を撫でて言い聞かせた。


「じゃあ、あなたはお父様の傍に居てあげられないのね?」


「……はい」


「そう…。でも…ひとつだけ約束してほしいの。私は…死んでしまうのよね?」


そう問うた時、年頃の娘に成長した我が子はゆっくり頷き、そこで雛菊は我が身の死を悟った。


「じゃあやっぱり約束して。私はともかく、あなたは絶対に、お父様の傍で転生して、支えてあげて。あの人…とても寂しがり屋だから。私とあなたの両方を失ってはきっと生きていけないから」


「はい…必ず」


「ありがとう。じゃあもう大丈夫ね」


「でも…お母様は?」


「私?私は…もう抱えきれないほどの幸せをあなたのお父様に貰ったからいいの。私は転生しなくても大丈夫。あなたさえ、お父様の傍に居てくれたら」


「…はい」


そこで肩の力が抜けた。

もう大丈夫だと分かった途端ほっとして――現実で叫んでも叫んでも変わらない痛みが全くなくなって、娘が手助けてしてくれたのだ、と思った。


「天満さん…」


「雛ちゃん…大丈夫!?」


「天満さん…ごめんなさい…」


――みるみる血の気を失う雛菊の顔色に、全身が粟立った。


生きる気力を放棄した――

天満は雛菊の代わりに叫び続けた。


「諦めるな!僕を…僕を置いて逝かないで!」


叫び続けた。