天満つる明けの明星を君に【完】

ここは実家ではなく、自由な空間――

自室に移動した天満は、少しの余裕を持って雛菊と愛し合った。

もう鬼陸奥はかなり寒くて火鉢がないと凍えそうだったが、互いの身体の熱と燃え上がるような感情が寒さを忘れさせて、汗が流れ落ちていた。


「やっぱり天満様…経験がないとか嘘みたい」


「嘘じゃないよ、耳年増で、こうしてみたいっていう妄想が発達してるだけだから」


雛菊の上げる声と表情で、頭がおかしくなりそうだった。

小さな身体だが脱ぐと意外と肉感的で、抱きしめるとものすごく柔らかい感触が伝わってきて天満の息も上がりっぱなしだった。


「雛ちゃん寒くない?女の子なんだから身体が冷えると…」


「じゃあ後で一緒にお風呂に入ってくれる?あと、居間をよく調べてみたら、掘り炬燵ができるみたいなの。お布団を買って掘り炬燵にしてぬくぬくしたいな」


「うん、そうしよう。朔兄の手伝いもしつつ宿屋の再開も目指さないといけないから忙しくなるね」


布団を被って身体が冷えないようにすると、雛菊が身体の上に乗ってきてどきっとした。

胸に頬ずりをしてきて吐息をついた雛菊は、どぎまぎしている天満の右肩をかぷりと噛んで愛情表現を示した。


「やっと噛めた。ずっと噛みつきたいなって思ってたの。天満様は?」


「じゃあ僕も噛んでいい?」


体勢を入れ替えて雛菊に覆い被さった天満は、やわらかそうな首筋に喉が鳴りそうになりながら、同じように右肩になるべく優しく噛みついた。

嬉しそうに笑ったその表情がとても愛しくて、耳元でこそりと囁いた。


「もう一回抱きたいな。いい?」


「ふふ、何回でも。天満様、好き」


「僕も好きだよ、雛ちゃん」


幸せすぎて涙が出そうになりながら、互いに酔いしれた。