天満つる明けの明星を君に【完】

拒絶はなかった。

心から強く天満に抱かれたいと思い、天満もまた心から雛菊を抱いて元夫のことを忘れさせてやりたいと思い、ふたつの思いが重なって、ふたりは指を絡ませて息を荒げた。


「天満様…っ!」


「ああ…こんなに気持ちいいものだなんて…頭がおかしくなってしまいそうだ…」


頬にぽたりと天満の汗が落ちた。

その目は潤み、とろけるような表情を見せている天満を見ていると、感度が高まり、気持ち良さの渦に包まれて、何度も大きな声を上げそうになっては両手で口を覆った。


「本当に、はじめてなの…?これで…?」


「やっぱり僕も父様の子ってことなのかな…上手にできてるかどうかは分からないけど…」


「ううん、すごく上手…。私、天満様とひとつになれた…」


肌と肌がくっついた感触はとても心地良く、互いに息を荒げつつも何度も唇を重ね、何度も身体を重ね合った。

そこにもう拒絶はなく、心身ともに満たされたふたりは、その辺に脱ぎ散らかした着物や羽織を引き寄せて火鉢の傍で丸まった。


「僕…合格点だった?それとも及第点?」


「超のつく合格点だよ。駿河さんしか知らないけど…でも気持ちが通じてる分、天馬様の方がずっと…」


裸になるのが恥ずかしいなどと最初は思ってしまっていたが、雛菊とひとつになった瞬間からそんな些事は気にならなくなった。

むしろ雛菊が自分の裸を見る度に感じ入っているようなものがあったため、天満もまた昂って暴走しそうになるのをなんとか堪えていた。


「天満様…これからどうするつもり?私は鬼陸奥に戻って宿屋を再開させるけど、あなたは…」


「僕も一緒だよ。鬼陸奥に行って雛ちゃんを手伝って、後々雛ちゃんをお嫁さんに貰って…」


「…えっ!?」


「えっ!?」


腕枕をしてやっていた雛菊の予想外の反応に、天満は思わず固まって仰け反った。