「それを教えてくれたのは秋雨さんだよ……?」
『もう戻れねぇよ。
これは俺が勝つか、お前達が勝つかの勝負。
てめぇらの頭は落ちた。
逆転の方法は、俺の首をとることだ。』
「…………………………もう、終わりだよ。」
パァァァァァアンッ!!!!
澪の悲しそうな声をかき消すかのように聞こえたサイレンサーなしの銃声。
それと同時に腹に鈍い痛みが広がる。
「銃を使えるのは僕だけじゃない。」
窓から見えるビルの上にいるのはライフルを構えた要の姿。
『ずるい。
要、銃下手だったじゃねぇか。』
力が抜けていく。
そう思った時、支えてくれたのは……
「馬鹿。」
『……蘭音。』
俺より苦痛そうな蘭音。
なんでお前がそんな顔してるんだよ。
痛いのは俺だっつうの。
「お前がしようとしてたことは想像つくよ。
けど、やり方間違えすぎだよ。」
『うっせぇ。……っ、俺は……お前や澪みたいに………、頭よく…ねぇんだよ。』
凛音は止血しながら、馬鹿じゃないのと言いたげに俺を見てくる。
KINGなんて作るんじゃなかった。
殺し屋っていう職業が確立しちまったいま。
金さえ貰えればいいと思うやつや、殺しを楽しみ無差別に殺すやつが増えた。
それと共に情報屋も始末屋も、馬鹿げたことをするやつが増えていった。
殺し屋や始末屋や情報屋っていう職業があるのは仕方ない。
くだらない世の中には必要なものなんだろう。
それでも、自分が立っているその場所が腐っていくのをただ見てるのは嫌だった。
けど、こいつらと馬鹿やってる時はそんな思いですらくだらなく思ってきた。
やめようとも思った。
…………だけど、あとには引けなかった。
澪たちの名前がリストに載ったのは俺自身、予想外の展開だった。
KINGは俺の指示なんてなくても行動を起こし、俺が潰したかったくだらない組織になっていった。