高校2年生の夏休み初日。


 来年になれば夏休みなんてただの勉強漬けの毎日になってしまう。


 今年の夏休みは目一杯楽しんでおかなくては。


 なんてことをカフェでぐうたら話している。


 この話に意味はあるのだろうか。


 こんなことを話している時間を使えば青春の思い出の1つくらい作れてしまえそうな気がする。


 私は目の前にあるアイスティーに手を伸ばした。


 私の向かいに座っている綾瀬 桃子(あやせ ももこ)も同じタイミングでグラスに手を伸ばす。


 桃子とは小学校の頃からの友達で、高校は別のところに通っているが、こうやってたまに会っている。


 じっとりと汗ばんだグラスから、カランと氷の音がした。


 窓の外を見ると、もう日が傾き始めている。


 そろそろ帰る時間かな。