「どこか行きたい店とか食べたいものとかある?」
と問われて、私が誘うつもりだった洋食屋を提案すれば快諾されて、そこに向かって歩き出す。
その洋食屋はスイーツだけでなく、飲食店全般について良く知っている莉子ちゃんにいつだったか聞いていた店だ。
なんでもデミグラスソースのオムライスが絶品らしく、どれほど美味しいかを興奮気味に語っていたのだが、丁度彼との待ち合わせ場所から近かった為に選択したのだ。
しかしながら、そこに向かうにも今日の私は足取りが遅く彼との距離が開いていく。
それでも何とか追いついているつもりではいたのだが、私の歩くスピード、歩幅はバイト帰りの時に知られているので、いつもと違う事に気付いたのかもしれない。
何も言わずに私を少し振り返った後、歩くスピードを緩めてくれたのは彼の優しさなのだろうか。
小さな事に気付いてくれる彼に少しだけ胸が締め付けられてしまった。

