**

「…ん…」


かたい床の感触に、ぱちり、と目を開ける。

一体どのくらい気を失っていたのだろうか。小屋の格子から見える空は、まだ暗い。


(何だか、体がふわふわする。…まだ夢の中にいるみたい。)


いつもと違う感覚に戸惑いながらも、私は、むくり、と体を起こし、埃を払う。

…そこは、ボロボロの小屋の中だった。私の他には、誰もいない。


(何…?ここが、あの世…?)


想像と違う死者の国に、戸惑う私。肌はちゃんと温かくて、おまけに足は付いたままだ。体の感覚もしっかりしている。

まさか、私はまだ死んでいないのだろうか。とりあえず、ここがどこなのかが知りたい。

私は、恐る恐る小屋の扉に近づき、ゆっくり引き戸を開けた。

…と、次の瞬間だった。


「な、何これ…?!」


目の前に広がるのは火の海。小屋を囲むように立つ木々が、ぱちぱちと火の粉を撒き散らしながら燃えている。


(?!!まさか、ここは地獄…?!)