名取くん、気付いてないんですか?



 決勝戦……。



「あ、うちのクラスですね」



 土屋さんのクラスと対戦だ。


 名取くん、頑張ってーーーっっ!!! あ、あとついでに一応相澤くんもー。他のみんなもー。


 ちら、と気まぐれにリサちゃんを見ると、真剣な表情でコートをまっすぐ見つめていた。……リサちゃんは相澤くんのこと、応援してるのかな。


 たぶん、してる。リサちゃんのことだから。


 相澤くんもそれを、察してる。だからかっこつけてバシバシ点取っていくんだろう。名取くんを差し置いて! まぁ、名取くんにはサポートが適役なんだけど!


 名取くんがレシーブでボールを拾って、相澤くんが点を決める。確かに点を決めた人のほうが目立つし、かっこいいかもしれない。でも、やっぱりわたしには名取くんが一番輝いて見えた。


 名取くん、大好き―――っ!



 ……試合が終了した。


 勝ったのは……うちのクラス! 本当、名取くんかっこいい! 最強! 付き合って!!


 この後まだ女子の試合があるのに、わたしはもうやりきった感全開で壁に背を付けてするする座り込んでいく。


 土屋さんに、「私の試合まだなんですよ!」と怒られたけど、どうしても、もう心は満たされてしまったのだ。



「……朝霧さん」



 名取くんがこっちに来た。床にへたり込むわたしの姿に、おかしそうに笑って。



「勝った」


「うん!」


「朝霧さんの応援のおかげ。ありがとう」


「声、出してないよ?」


「うーんでも、聞こえたよ。朝霧さんの声」


「そっか」



 どうしよう。


 なんか、このまま、名取くんに抱きつきたい。


 いや、ダメなんだけど。困らせるだけなんだけど。


 きっと彼女だったら、抱きつけたのかな。……なんて。



 そして、女子の試合をして、球技大会は終わった。女子バレーは、自信有りと豪語した通り、土屋さんのクラスが優勝してしまった。


 でも、やっぱり、名取くんが最高にかっこいいところを見られたのが、一番よかったかな。


 あ、もちろん土屋さんもかっこよかったけど。葵ちゃんと、和久津くんも。相澤くんは……リサちゃんからの言葉に、残しておこうかな。



※ ※ ※



 教室に戻って、先生が買ってきてくれたジュースで乾杯した。


 最終結果は、卓球二位、バスケ一位、バレーは男子が一位で、女子が三位だった。


 でも、まぁ、すごく良い結果だ。表彰状、いっぱいもらえたし!


 でも、先生の乾杯の言葉……



「イケメン二人組に乾杯!」



 は、癪に障ったなぁ!


 名取くんだって、誰にも負けないくらいかっこよかったから!!