胡桃との約束通り、日向にも同様に電話をかける。


「もしもし、雪乃?」

ツーコールくらいで出たぞ?この人。すごいな。

『うん。日向、あのね。』

流石に、胡桃の時みたいにビシリとは言わない。

「ゆっくりでいいぞ。」


日向の声は、安心する。

『今日、駅前の像で待ち合わせしたんだけどね、浅岡、来なかった。』

「そうか。」


日向の声が、少し翳る。それに、少し切なく感じながらも話を進めていく。

『うん。私が待ってた時、ほかの女の子と歩いてるの見たよ。目が合ったけど、すぐに逸らされた。』

「そうか。……未練、とかは?」


『うん、今日のを見てはっきり決めた。

私、あいつ、いらない。

もしかしたら、自然消滅していたのかとさえ思える。』

「そうか。復讐は?どうすんだ?」

『うん、するよ。

まぁ、復讐っていっても、浅岡に私がやられたようなことやり返して、最終的に浅岡が私たちの方に接触してきたら。

私たちの勝ちだ。』

「なるほどな。つまり、相手がまだ雪乃と付き合ってると思えば、お前の彼氏は俺だろ?って接触してくるもんな。」

『そう。その時に、こっ酷く振る。

でも、相手が私と付き合ってるって思ってなかったら接触してこないからある1種の賭け、になるね。』

「なるほどな。」

『協力、してくれる?』

そう聞けば、「当たり前だろ」と笑ってくれた。

『ありがと。』

「ああ。また明日、決めような。」

『うん。』