7時半に練習は終わり、黒谷先輩の前に部員達が集まる。
「卒業生の俺から今のお前らに言えることは……とくにない」
え。2年、3年は怒られる覚悟してたんですけど。
「まあ最初からそこまで心配してたわけじゃねーからな。前野がキャプテンだし。いつも通りの森ノ宮高校陸上部だったわ」
前野先輩が密かに照れていた。
元から2人は仲良かったけど黒谷先輩は褒めるタイプではなかったから嬉しかったんだろうな。
「たまにお前らの大会見に行くからしょうもない結果出したら埋めるからな。以上」
さ、最後に釘を刺してきたー!!
って部員全員が心の底から思った。
「あー…じゃあ、解散」
前野先輩が言いづらそうに号令をかけて皆更衣室の方へ向かった。
「白井」
「……はい」
お前は残れ。
目がそう言っている。
はいはい残りますよー、どうせ私だけ居残り練習ですよー。
「何周走ればいいんですか?」
「アホか、もう練習は終わっただろ」
「え?」
「とりあえず部室来い」
「は…い」
説教されるのかな。
断る理由もなく黒谷先輩の後を歩く。
部室はグラウンドの隅にある建物で、他の運動部も使っているから、各部活が小部屋になっている。
ちなみに更衣室はグラウンドを出てすぐの所。
