俺は毎日1人ただ走っている白井さんを見ていた。
そして数ヶ月後、いつの間にか彼女は信じられないくらい足が早くなっていた。
持久力も他の女子とは桁違いで、体育の時間1人突っ走っている彼女を見て本当にすごいと思った。
初めての大会では個人戦の100mは準優勝で、黒谷さんも褒めていた。
日に日に白井さんは早くなってトラックで並ぶこともあった。
隣で走る彼女は以前の可愛いだけじゃなく、凛々しく、眩しく見えた。
陸上部の皆も白井さんを認めたのか、彼女はいつの間にか部のアイドル的存在になった。
そんなある日、白井さんと給水所でバッタリ会った。
「水、もうぬるいから」
久しぶり話しかけられて俺は挙動不審になる。
「あ、あの。こうして話すの…なんか久しぶりだよね」
白井さんはキョトンとした。
「そう…かな?ごめん、部活に集中してて…」
「あはは、無理もないよね。白井さん毎日頑張って走ってたし」
