松山さんと河内さんに連れて来られたのは会議室だった。

「支社長はさ。
 相変わらず容赦なかったよね。」

「守ったのは契約書に決まってる!って態度。
 ブレないよね。」

「仕事第一で血も涙もない感じがね。」

 私のことをそっちのけで話していた二人が急にずいっとこちらに顔を向けた。

「支社長を見つめる目。」

「え?」

「花音ちゃんって支社長のこと……。」

 ダメだ。やっぱり勘違いされてる!

「違います!違いますよ!!」

 慌てて手を顔の前で振ってみても二人は疑いの眼差しを向けたまま。

「そう?そんな風には見えなかったけど。」

「私達は別に責めてるわけじゃないの。」

「え……。」

 想像していたよりもずっと優しい口調の二人に、そう言われてみれば責められてはいないかも……と顔の前で振っていた手を下ろした。