田舎に大企業が誘致される。
 そのことは田舎で大々的に取り上げられた。

 視察に来ていた現支社長もイケメン過ぎると話題に上がった。

 私はと言えば、社長の息子でイケメンだなんて、どれだけ世の中を舐めて見てる人だろうっていう曲がった好奇心みたいなものはあった。

 それがまさか一緒に働くことになるんだから人生何が起こるか分からないものだ。

 制服に着替え、職場に着くと倉林支社長はすでに席にいてパソコンに向かっていた。
 私は席に向かわずにコピー機の前まで歩み寄った。

 紙の残量をチェックして、少ない物は足した。

 次に給湯室に行くとお茶のチェックに洗ってふせてあったお客様用カップを棚にしまった。

 そして自分の周りの席を回りゴミ箱のゴミを集めた。

 しかしパソコンに集中している倉林支社長の元に行くのは気が引ける。
 近くのゴミを集めながら彼の横顔を盗み見た。

 彼の横顔は外国人のそれを思わせる美しさがあった。

 耳から顎にかけてシャープなライン。
 スッと通った高い鼻筋。
 意志の強さを感じさせる真っ直ぐな眉。
 そして彫りの深い目元は奥二重の切れ長な目がスッキリとした印象を与えていた。

 全てが整っている彼の横顔に見惚れてしまいそうで慌てて目を逸らした。