ショックだとしても!

 私は逃げ出しそうなその子の腕をギュッとつかんだ。

 ハッと意識を取り戻したみたいに腕をつかまれた子は急に威勢がよくなって暴れ出した。

「離せ。悪魔の手下!」

「悪魔だなんて!!
 人に石を投げて何を言ってるの!」

「あいつは人じゃないから何をしたっていいんだ!離せ!」

 酷い。いくら子どもだからって。

「西村さん。もういいよ。」

 見るに耐えかねた支社長が私の肩に手を置いて止めに入った。
 しかし私は声を荒げた。

「よくないです!
 この子の為にもよくない!」

 息を飲んだ倉林支社長は私の肩に置いていた手を下ろした。

「行くよ。」

 そう子どもに言って家まで無理矢理帰させた。

 大騒ぎする子どもの声に家から母親らしき女性が血相を変えて飛び出してきた。

「なんですか?あなた達!」

 私たちをひと目見て、子どもを奪うように腕の中に抱えた。
 特に倉林支社長の方はよく見もしないで背を向けて憎しみとも取れる色を浮かべたように感じた。