都築さんは冷房の操作ボタンが集約されている場所まで見に行ってくれた。

「えぇ?20℃になってるよ。
 誰だよ。操作したの。」

 大騒ぎする都築さんに松山さん、河内さんコンビがすかさず突っ込んだ。

「何、言ってるの。
 いつも下げてるの都築くんでしょ?
 西村さんにいい顔したいからって。」

「違っ!俺、さすがに20℃には……。」

「どうだかね〜。
 西村さん。都築くんは調子いいから気をつけなさいね。」

 2人の対応の仕方で都築さんの人となりと、この職場でのポジションが分かった気がする。

 やっぱり調子がいい人なんだ。

「そんなことないよ〜。
 西村さん。俺、紳士だからね?」

 慌てる都築さんがおかしくて松山さんと河内さんにかしこまって頭を下げた。

「ご忠告ありがとうごさいます。」

「そんな〜。
 それってお調子者確定ってこと?」

 嘆く都築さんがトボトボと自席に戻る。

「フッ。都築。良かったな。」

 別のところから言葉を掛けられて都築さんはますます肩を落とした。

「やめてくださいよ。支社長まで。」

 しょんぼりする都築さんがなんだかおかしくて、松山さんと河内さんと顔を見合わせて笑った。