「私は人形までつけたつもりは無かったんだけどなぁ。
 どんな人形なのか、西村さんの頭の中を覗いてみたいよ。」

「描いてみましょうか?
 絵心はまるで無いんですけど。」

 彼がしげしげと眺める中でペンを走らせた。

 プッと吹き出した彼がクククッと笑う。
 描き上がった絵を見て、彼は随分と上機嫌だ。

「絶妙どころか、どこの辺が私なのか教えて欲しいな。」

 小学生並みの画力を前にしても私はめげずに説明を始めた。

「どこがって全部ですよ。
 綺麗な顎のラインとか、スッと通った高い鼻筋も。
 それに切れ長の目元の涼しげなのに色っぽいところまで……。」

 し、しまった。
 力説してから後悔しても遅かった。

 急激に顔が熱くなって「いや、これは一般論ですよ?」とよく分からない言い訳を口にして恐る恐る倉林支社長を………。