デキる女を脱ぎ捨てさせて

「だからって失礼があっては……。」

「だから大丈夫だって。
 花音のことは父は社長として本社で見ているからよく知ってるって言ってたし。
 母も佳子ちゃんの娘ならって楽しみにしてるよ。」

 あんなに興味のなかった結婚の二文字も今は花音が離れていかない願っても無い取り決めのように思えるから不思議だ。

「そ、それは有難いような。
 プレッシャーのような。」

「だから緊張する余裕がなくなるようにしてあげるよ。」

 逃げようとする花音の指先を絡め取ってキスをする。
「もう」と甘い吐息混じりの花音に囁いた。

「二度と離したりしないからね。」


倉林崇仁 Side ーFin