デキる女を脱ぎ捨てさせて

「指輪…見に行きたいです。」

 可愛い花音のおねだりは俺の胸を甘く疼かせた。

「珍しいな。
 花音からそういうこと言うなんて。」

「だってまだ夢みたいで。
 崇仁さんのだっていう印が欲しいというか……。」

 可愛いことを言う花音に我慢ならなくなって俺は彼女の胸に顔をうずめた。

「崇……仁、さん?」

 胸元に甘く噛み付くと身動いで色っぽい吐息を吐く花音にますます欲情が煽られる。
 止められなくなりそうな思いを引き剥がして顔を上げた。

「ほら。俺のことを忘れない印とそれにおまじない。」

 チュッと音を立てて唇にもキスをすると艶かしい色気の増した花音の潤んだ瞳と目があった。
 だから花音といると離せなくなるんだ。

「崇仁さん?
 本当に、もう…。
 だってデートの後は挨拶にも行くって。」

 正式な挨拶じゃないから肩肘張らずにと言ってある俺の実家への顔見せ。
 だから敢えて出掛けたついでという形にしてある。

「大丈夫だよ。
 両親共に俺が結婚する気になったって言って大喜びだから。」

 俺は事あるごとに「結婚する気はない」と公言していたから、その変わりように赤飯でも炊きそうな勢いで喜んでいる。