「西村さんは自分の世界に迷い込んでしまうタイプなのかな?
 さっき、資料を作っている時も実は声を掛ける数分前から見ていたんだけどね。
 全然気付いてくれなかった。」

 飲みかけていたお茶を落としそうになって抗議する。

「ちょ、ちょっと待ってください!
 数分前から観察されてたってことですか?
 悪趣味にもほどがあります!!」

「まぁまぁ。それより西村さんが開けてくれないと私もさすがにご馳走になる身で仕切れないんだけど。」

 それはあなたがいちいち動揺するようなことを言うからです!

 プリプリ怒りながら袋から惣菜を出して紙皿に割り箸で取り分けて彼に渡した。

 店長、あんなこと言って紙皿もお箸も付けてくれるんだから。
 ぶっきらぼうにしていた店長を思い出す。

「花音ちゃんだから持たせてあげるんだからね。」

 私だから何よって、その時は余計に怒り心頭で褒められた態度ではなかったと思う。
 今度、食べに行った時にでもきちんとお礼を言わなくっちゃ。