私は顔が真っ赤になることを止められなくて松山さんには後ろからお尻をたたかれるし、都築くんは真っ赤になって俯く私といつも通りの倉林支社長とを交互に見比べた。

「し、し、支社長……。
 プライベートな空間に入れた女性は一人だけだって。」

「あぁ。そうだな。
 そのくらい私はその女性に溺れてる。」

 仕事の話をするみたいにサラリとすごいことを口にする彼に都築くんは驚きを隠せずにいた。

「し、し、し、し……。」

「なんだ?
 トイレにでも行きたいのか。
 行ってこい。」

「違いますよ!支社長!!
 その女性って……。」

 ゴクリとみんなの喉が鳴ったような気がする。
 私も気が気じゃなくて彼の続きの言葉を待った。

「ん?あぁ。可愛い娘だよ。
 その娘に何かあったら何するか分からないな。俺。」

 人をも殺めそうな美しく冷酷な微笑みを浮かべた倉林支社長にみんな固まったのが分かった。

 私だけあわあわして、私じゃなくて俺になってますよ!って、どうでもいいことが気になって……。

「そ、そうっすよね。大事にします。」

「お前がするんじゃないだろ。
 俺が大事にする。」

「そうっすね。お幸せに。」

「あぁ。言われなくても。」

 彼は美しくて極上の笑みを浮かべた。


ーFin