「いまどきの若いもんはオープンじゃね。」

　私のところにもおばさま達がやってきて冷やかすように言った。

「倉さん、あぁ見えて花音ちゃんにぞっこんじゃて。」

　ぞっこんって……。

「練習に来て欲しくないのも若い衆に花音ちゃん見られるのが嫌なんじゃって。」

「え……何それ。」

　驚きでつい口を出た言葉におばちゃんも驚きの声を上げた。

「知らんかったんかね。」

「だっておじさんが花音ちゃんは太鼓のセンスゼロだからって。」

　おばさんは大袈裟な身振りで頭に手を当てた。

「かーっ。
　うちの人は乙女心の分からん男じゃ。
　ごめんだよ。花音ちゃん。」

「いえ。そんな。」

　天野のおばさんに謝られて私も手を横に勢いよく振った。

　少しは……自惚れてもいいのかな。
　彼に愛されてるって。

　そんなことを思うと嬉しいような、けれど気恥ずかしい思いだった。

　彼と過ごす週末は不安な気持ちを吹き飛ばしてくれるような穏やかで優しい時間だった。