ずっと聞き役に徹していた私だったけど文字通り絶句する打ち明け話が続けられた。

「俺、父親の愛人に育てられたんだ。
 実際に育ててくれたのは使用人だけどね。」

 愛人に、使用人……。

「お互いに情が移らないように定期的に人が変わるんだ。」

 わざとなのか、無意識なのか。
 あっけらかんと話す崇仁さんの口調を聞いていられなくて口を挟んだ。

「もういいです。もういいですから。」

 平気そうに話す彼が余計に物悲しくて寂しくて。
 聞いていられなかった。

 それなのに彼はキツめの口調で続けた。

「可哀想と思わないで。
 それが俺の普通で可哀想と思われてその気持ちを押し付けられても困る。」

 何……それ。

 私は黙っていられなくて言い返した。

「すみませんでした。
 可哀想と思ってしまいました。
 でも崇仁さんは欲がないっておっしゃりますけど。」