「謝って欲しいわけじゃない。
 ほら、俺のことなんて呼ぶの?」

 おでこを重ね合わせた彼に消え入る声で言った。

「……崇、仁さん。」

 私が名前で呼ぶと満足そうに頷いて優しく唇を重ねた。

「もう容赦しないよ?」

 妖艶な微笑みにドキンと心臓がひっくり返る思いがした。

「あ、あの。やっぱり帰ります。」

 命がいくらあっても足りない気がして来た。
 急に怖気づいて訴えてみても彼が許してくれるわけがなかった。

「つれないこと言わないで。
 離すつもりはないから。」

 チュと音を立ててキスをされると彼に抱きかかえられた。
 有無を言わさずに連れて行かれる。

「あ、あの。」

「一緒にシャワーを浴びよう。
 ジャグジーもあるんだ。」

 ジャグジーはすごく見てみたいけど!

 私がもがいたところで彼に敵うはずもなく、彼の思うがままに広い部屋からバスルームへと移動されるのだった。