「みょうがに恋い焦がれるなんて可愛いなって思ったし、みょうがに対抗心っていうのかな。
 少し妬けたよ。」

「みょ、みょうがですよ?」

 何を言っているの?この人は。
 みょうがって。

 見た目はまぁ可愛いと言えば可愛らしいフォルムだけど所詮は野菜。
 何を引き合いに出してるの!?

 手に再び口づけをし始めた彼に文句をぶつけた。

「私を元彼に引き渡したような人なのに!
 じゃ陽真に渡したりしな……んっ!」

 彼の瞳の色が一瞬にして変わったのが分かった。
 手を引かれ体を抱き寄せられると唇を塞がれていた。

 舌を絡め取られて何も考えられなくなる。

 唇が離されると胸を締め付けるような言葉を掛けられた。

「この可愛い唇で他の男の名前を呼ばないで。
 嫉妬で狂いそうになったのは初めてだ。」

「倉林支社長……。」

 嘘……。
 だってずっと普通で、ずっといつも通りで、私のことは部下としてしか見ていないって……そう思ってた。