急展開過ぎて頭は付いていけないのに、繋がれたままの手の温もりに胸が高鳴ってどうしようもない。

「離すのは名残惜しいけど。」

 彼は目を閉じて私の手へキスを落とした。
 それは愛おしいものにそっと口づけるように。

 そんな彼から目が離せなくて閉じた目のまつ毛が揺れて開くまでずっと見ていた。

 ゆっくりと開かれた両眼は真っ直ぐに私を射抜いた。

「行こう。」

 離された手を私は自分自身でギュッと握りしめることしか出来なかった。