頓挫してしまったホタルのことを並行して進める中で地酒にお祭りに、それに特産品も。

 もちろん通常業務もある。
 それを意地でも残業しないようにフル回転で仕事をこなした。

 川魚を何かアレンジしようと考えていたものは、あまごの甘露煮が地元の特産品で、それを使ったアレンジパスタを作ろうと試行錯誤していた。

 そこで何度か倉林支社長と彼の親友である箕浦さんと打ち合わせを重ねていた。

 今はオーナーという形で腕を振るっていない彼だけれど元々は一流のシェフらしい彼の意見はとても貴重なものだった。

 本社での打ち合わせも重なった今日は倉林支社長抜きで私だけ箕浦さんとの打ち合わせに来ていた。

「俺と花音さんを二人にするなんて何かあったのか?」

 またこの人からも聞かれるの……。

 倉林支社長って友人にいったいどう思われているのか。

 倉林支社長は本社で抜けられない会議だ。
 確かに今までは必ず彼に私が同行する形で箕浦さんとの打ち合わせに来ていた。

 所詮、彼にとって私は秘書なのだと思っていた。