デキる女を脱ぎ捨てさせて

「私、もらう！」

　倉林支社長をかばってくれた女の子が嬉しそうに駆け寄った。
　おじさんはそれを制止……出来ていない。

「まぁまぁ。
　とりあえずは紹介しないか。
　ん？それとも先に菓子か？
　みんな菓子に目がないなぁ。」

　なし崩し的におやつタイムになってお茶も振る舞われた。
　私も回ってきたお茶を頭を軽く下げていただいた。

　子ども達はキャッキャ言いながら目新しいお菓子をあぁでもないこうでもないと選んでいる。
　悪魔と言った子もお菓子の魅力に敵うはずもなくみんなと一緒になって選んでいる。

「さぁ。食べながらでいい。
　今日は新しいメンバーを紹介したい。」

　おじさんが声を張り上げるとみんながおじさんに注目した。
　私は緊張から倉林支社長を見つめた。
　彼はおじさんとともにみんなに向かってまっすぐに前を見ている。

「みんなも知ってるじゃろうが、フォレストのボンクラ息子だ。
　性根を叩き直してやろうと思うちょる。
　みんなも厳しく指導してやってくれ。」

　わぁと拍手が起こった。
　ひどい言い方はおじさんなりの激励だ。
　前の時とは明らかにおじさんの纏う空気も顔つきも違う。

　そして……他のみんなも思った以上に歓迎ムードでホッと胸を撫で下ろした。