窓際で後ろから抱きしめられた体は甘い刺激から逃れるようとカーテンにしがみついた。

 自分が自分でなくなって壊れてしまいそうな怖さみたいなものを感じて声が漏れる。

「待って……。お願い。待って。」

 泣いてしまいそうな声が漏れてもその声さえも絡め取られてしまった。

 彼から距離を取ろうとしても執拗に追いかけてくる彼の熱い体に捕らえられる。
 私の制止なんて聞いてくれない。

 後ろから私の腰を捕まえた彼が体を重ね合わせようと引き寄せた。

「………ッ。」

 艶めかしい息遣いが息を飲んだのが分かった。

 ヤダ。知られて………。

 執拗に追いかけてきていた体が僅かに離れてやっと息がつける思いだった。

 不意に優しく背中にキスが落とされてゾクッと体を仰け反らせた。

「な、に……を。」

「花音?こういう大切なことはお願いだから最初に言っておいて?」

 情熱的だった彼からの刺激はすっかり止められて優しく声をかけられた。

「それは……。
 だって聞く耳を持ってくれなかったですよね?」

 そうじゃない。隠し通そうと思って……。