琉季くんにそんな事を言われて、正面から言い返せる人はなかなかいないだろう。

安達さん達は、すぐに逃げ出していく。


「あ、ありがとう…」


こうやって彼にお礼を言うのも、何回目だろうか。

私が安達さん達に絡まれるのは珍しい事ではない。


逆に、彼に助けてもらうのも珍しい事ではないのだ。


「別に、お礼言われる程の事じゃないよ。」

そう言って琉季くんは淡く微笑んだ。

あぁ、この微笑みにみんなは心を奪われてしまうんだろうなって、素直にそう思った。