「はっ?」

思わず幸大さんを見る。
ちょっとちょっと、彼女って何よ!?

「嘘よ! この前は彼女より気楽なセフレが欲しいって言ってたじゃん!」

「気が変わったんだよ。そんなわけで小春ちゃんとはつき合えないから帰って」

「オマエら2人死ねよ! バカ!」

小春さんは暴言を吐き帰って行った。

「はぁ〜。あっさり帰ってたな」

ドアが閉まるのを確認してから、幸大さんが心底ホッとしたかのように言う。

抱き寄せられていた幸大さんの手が離れていき、あたしの体も力が抜けた。

「ごめんね。へんなことに巻き込んで」

「なんかよく分からないけど、ビンタまでされたこっちの身にもなって下さいね」

「ホントごめん。今日の夜って空いてる? お詫びに美味しい鍋おごるよ。ちょうど会社の同僚やら後輩も来るし」

「いいえ。けっこうです」

即答で返事をする。